「歯が浮く」正体とは?違和感の原因と今すぐできる対処法・予防策を徹底解説
木更津市の歯医者、陽光台ファミリー歯科クリニックです🍀
歯科医院を訪れる患者様が訴える「歯が浮く」という感覚。患者様は「歯が伸びた気がする」「歯と歯の間に何かが挟まっているようなムズムズ感がある」「噛むと特定の歯だけ先に当たって響く」といった表現をされます。
実は、歯そのものが物理的に伸びたり、急に成長したりすることはありません。この違和感の正体は、歯を支える組織である「歯根膜(しこんまく)」にあります。

歯は顎の骨に直接埋まっているわけではなく、骨と歯の根の間に「歯根膜」という非常に繊細な繊維状の膜が介在しています。この膜には2つの大きな役割があります。
クッション機能: 噛む時の衝撃を吸収し、顎の骨に直接負担がかからないようにする。
センサー機能: 「髪の毛一本」が混じっていても感知できるほど鋭敏な感覚を脳に送る。
この歯根膜が何らかの理由で炎症を起こし、血液やリンパ液が溜まって「むくんだ状態」になると、歯がわずかに(コンマ数ミリ単位で)押し上げられます。この微細な変化を、鋭敏なセンサーである歯根膜自身が捉え、「歯が浮いている!」という強烈な違和感として脳に伝達するのです。つまり、歯が浮く感じは、お口の周囲組織が悲鳴を上げているサインに他なりません。

疲労やストレス?全身のコンディションが歯に与える影響
「仕事が忙しくなると歯が浮く」「風邪を引くといつも奥歯が疼く」……これらは、お口の中の問題だけでなく、全身の免疫システムと密接に関係しています。

歯の周囲には常に数多くの細菌が存在しています。健康な状態であれば、体の免疫力がこれらの細菌を抑え込んでいるため、炎症は起こりません。しかし、以下のような要因でバランスが崩れると、一気に「歯が浮く」症状が現れます。
免疫力の低下: 激務、寝不足、栄養不足などが重なると、白血球などの免疫細胞の活動が弱まります。すると、普段はおとなしくしていた細菌が暴れ出し、歯根膜に軽微な炎症を引き起こします。
自律神経の乱れと血流: 強いストレスを感じると自律神経が乱れ、交感神経が優位になります。これにより末梢血管が収縮し、歯ぐきや歯根膜の血流が悪化します。血流が滞ることで老廃物が溜まり、組織がうっ血して「浮いた感覚」を誘発します。
女性ホルモンの変化: 女性の場合、生理前や妊娠中などにホルモンバランスが変化することで、歯ぐきの血流や炎症反応が敏感になり、浮いたような違和感を覚えることがあります。
このように、歯は「全身の健康状態を映し出す鏡」でもあります。もし特定の部位だけでなく、全体的にボヤボヤと浮くような感覚がある場合は、まずは体力の回復を優先すべきだという体からの警告かもしれません。
要注意!歯周病や根尖性歯周炎など、お口の病気が原因のケース
体調を整えても改善しない場合、あるいは特定の1本だけが明らかに浮いている場合は、歯科治療が必要な疾患が隠れている可能性が極めて高いです。
歯肉炎・歯周病: 歯ぐきの溝(歯周ポケット)にプラークが溜まり、炎症が進行すると、歯を支える土台である歯槽骨が溶けていきます。土台が不安定になれば、歯根膜への負担が増し、常に浮いたような、あるいはグラグラした感覚が生じます。

根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん): 虫歯が進行して神経が死んでしまった後や、過去に神経を取った歯の「根の先」に細菌が繁殖し、膿の袋ができる病気です。膿が溜まって内圧が高まると、歯を内側から押し上げます。この場合、噛んだ時に鋭い痛みを伴うことが多いのが特徴です。

上顎洞炎(蓄膿症): 上の奥歯特有の原因として、鼻の副鼻腔の一つである「上顎洞」の炎症があります。上顎洞は上の奥歯の根っこと非常に近い距離にあるため、蓄膿症になると鼻の炎症が歯の神経や歯根膜を圧迫し、「歯が浮く」「お辞儀をすると響く」といった症状が出ます。これは歯科と耳鼻科の境界領域の疾患です。上顎洞炎について詳しくはこちら

これらの疾患は自然治癒することはありません。放置すればするほど治療期間が長くなり、最悪の場合は抜歯という選択肢しか残らなくなるため、早期発見が鍵となります。
物理的ダメージの影響。現代病「食いしばり」のメカニズム
近年、スマートフォンの普及やデスクワークの増加に伴い、急増している原因が「力(ちから)のコントロール不全」です。
歯ぎしりと食いしばり: 寝ている間に無意識に行う歯ぎしりは、食事の時の数倍から十倍近い負荷がかかると言われています。特定の歯に過剰なエネルギーが加わり続けると、歯根膜は「打撲」のような状態になり、翌朝「歯が浮いて重だるい」という症状が現れます。

TCH(上下歯列接触癖): 本来、人間の上下の歯が接触している時間は、1日で合計20分程度(食事中など)と言われています。しかし、PC作業中などに無意識に歯を接触させ続けてしまう「接触癖」がある人は、常に歯根膜に低負荷をかけ続けていることになり、組織が疲弊して浮遊感を招きます。

破折(歯のヒビ): 過度な力が加わり続けた結果、歯の根元に目に見えないほどのヒビが入ることがあります。そこから細菌が侵入すると、急激に歯根膜が腫れ上がり、強い浮いた感覚と激痛を引き起こします。

これらは、いくら丁寧に歯を磨いていても防げない問題です。歯科医院で「マウスピース(ナイトガード)」を作製し、物理的に力を分散させる対策が必要になります。

歯科医師が教える解決策。セルフケアとプロフェッショナルケア
「歯が浮く」と感じたとき、私たちはどう行動すべきでしょうか。
【自宅でのセルフケア・応急処置】
「触らない・噛まない・押さない」: 気になって指で動かしたり、舌で押したりすると炎症が悪化します。その歯を「安静」に保つことが第一です。
血行を急激に上げない: 飲酒、激しい運動、長時間の入浴は、炎症部位の血流を増やし、違和感を痛みに変えてしまう恐れがあります。
十分な睡眠と栄養: 免疫力を戻すために、ビタミンCやB群を摂取し、早めに就寝しましょう。

【歯科医院での治療】
噛み合わせの調整: 高くなっている部分をコンマ数ミリ削るだけで、劇的に浮遊感が改善することがあります。

歯周精密検査: 歯周ポケットの深さを測り、根本的な原因である歯石を除去します。歯周病治療について詳しくはこちら

根管治療: 根の先の膿を書き出し、消毒することで、内圧を下げます。根管治療について詳しくはこちら

ナイトガード(マウスピース)療法: 就寝時の負担を軽減し、歯根膜の回復を助けます。
まとめ
「歯が浮く」という感覚は、決して放置してよいものではありません。それは、あなたが気づいていない「体の疲れ」や、静かに進行する「お口の病気」が発しているアラートです。
多くのケースでは、適切な休息と歯科医院でのメンテナンスによって解決可能です。しかし、「いつものことだから」と見過ごしている間に、歯の寿命を縮めてしまうことも少なくありません。
「歯が浮いたかな?」と思ったら、それは自分自身の体と向き合うタイミングです。 まずはゆっくりと心身を休め、それでも違和感が残る場合は、私たち歯科医院に相談してください。精密な検査によって、その違和感の正体を突き止め、再び「何でも美味しく噛める」喜びを取り戻しましょう。
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