おしゃぶりの長期使用で起こる歯並びトラブル
木更津市で痛くない子供の歯並び矯正をしている歯医者、陽光台ファミリー歯科クリニックの口育士です🌼
おしゃぶりは多くの赤ちゃんにとって大切な存在です。吸啜反射を満たし、安心感を与えてくれるため、育児の強い味方となります。しかし、長期間の使用は歯並びに影響を与える可能性があることをご存知でしょうか?
赤ちゃんがおしゃぶりを吸うとき、口の中で特定の筋肉を使い、一定の力が歯や顎にかかります。この力が継続的にかかることで、成長過程にある歯や顎の発達に影響を及ぼすことがあります。特に、乳歯が生え揃う1〜3歳頃は、歯並びの形成に重要な時期です。
おしゃぶりの使用自体は生後数ヶ月から2歳頃までであれば、大きな問題にはなりにくいとされています。この時期は、吸啜したいという赤ちゃんの本能的な欲求も強く、心理的な安定にもつながります。ただし、おしゃぶりの使用頻度、時間によっても影響は異なります。
おしゃぶりによる歯並びへの具体的な影響
長期間のおしゃぶり使用は、お子さんの歯並びにどのような影響を与えるのでしょうか?
出っ歯(上顎前突)のリスク
おしゃぶりを長期間使用すると、上の前歯が前に突き出る「出っ歯」になるリスクが高まります。
これは、おしゃぶりを吸うときに前歯へ力がかかり続けることが原因です。
おしゃぶりを使用し続けると、上の前歯が徐々に前方に傾き、下の前歯との間に大きな隙間ができやすくなります。これは見た目の問題だけでなく、将来的に前歯で物を噛み切る機能にも影響を及ぼす可能性があります。
開咬(オープンバイト)の問題
おしゃぶりの長期使用でよく見られるもう一つの問題が「開咬」(オープンバイト)です。
これは、上下の前歯が噛み合わず、閉口しても前歯部分に隙間が残る状態を指します。
開咬が発生すると、「サ行」や「タ行」などの発音に影響が出ることがあります。また、前歯で食べ物を噛み切る機能が低下するため、食事の際に不便を感じることもあります。
おしゃぶりの継続的な使用は、顎の発達にも影響を与えます。特に上あごが狭くなりやすく、これにより「叢生(そうせい)」と呼ばれる歯並びの乱れや、「交叉咬合(こうさこうごう)」という上下の歯の噛み合わせの問題が生じることがあります。
これらの問題は、おしゃぶりをやめた後も自然に改善しない場合が多く、将来的に矯正治療が必要となることもあります。特に4歳以降もおしゃぶりを続けると、これらの問題が固定化するリスクが高まります。
おしゃぶりの正しい対処法と卒業のタイミング
お子さんの健やかな歯の発達のために、おしゃぶりをいつ、どのようにやめさせるべきでしょうか?年齢別の適切な対応と効果的な卒業方法をご紹介します。
<年齢別・発達段階別の適切なおしゃぶり使用期間>
0〜1歳:この時期は吸啜反射が強く、おしゃぶりの使用が心理的な安定に寄与します。歯並びへの影響も比較的少ないため、必要に応じて使用して問題ありません。
1〜2歳:徐々におしゃぶりの使用時間を減らしていく時期です。特に日中の使用を限定し、就寝時や特別な状況(病気や長時間の移動など)のみの使用を心がけましょう。
2〜3歳:この時期にはおしゃぶりからの卒業を目指すのが理想的です。日本小児歯科学会も3歳までの卒業を推奨しています。2歳半頃から具体的な卒業計画を立てると良いでしょう。
4歳以降:歯並びへの影響が顕著になる時期です。この年齢でまだおしゃぶりを使用している場合は、早急に卒業に向けた取り組みを始めることをお勧めします。
おしゃぶりをやめさせる方法
段階的アプローチ:いきなり全面禁止するのではなく、まずは日中の使用をやめ、次に昼寝の時間、最後に夜間と段階的に減らしていきましょう。
ポジティブな励まし:「おしゃぶりを卒業できたらお兄ちゃん(お姉ちゃん)だね」と前向きに伝え、成長の証として位置づけます。
おしゃぶり妖精の活用:「おしゃぶり妖精」がプレゼントと交換にもらいに来るという方法も効果的です。事前に話し合い、子どもが納得したタイミングで実行しましょう。
代替行動の提供:おしゃぶりの代わりになる安心グッズ(お気に入りのぬいぐるみなど)を用意しておくと良いでしょう。
無理におしゃぶりをやめさせるとお子さんにストレスを与えてしまう可能性があります。また、下の子が生まれてお母さんを取られたと感じる、保育園や幼稚園に通い始めたなどストレスや不安からおしゃぶりをしていることもあります。癖でやっているのか、安心するためにやっているのか原因を見つけ、お子さんに合った方法で焦らずゆっくりとやめれると良いと思います。
歯並びに問題が出始めた場合の対処法
すでにおしゃぶりの影響で歯並びに変化が見られる場合でも、早期に使用を中止すれば、多くのケースで自然に改善します。
しかし、4歳以降までおしゃぶりを続けた場合や、明らかな歯並びの問題が見られる場合は、小児歯科医や矯正歯科医への相談をお勧めします。早期の専門的な評価と適切なアドバイスにより、将来的な矯正治療の必要性を減らせる可能性があります。
定期的な歯科検診を受け、お子さんの歯並びの発達を専門家に確認してもらうことも大切です。特におしゃぶりを長期間使用していた場合は、卒業後も定期的なチェックを受けることをお勧めします。
おしゃぶりは赤ちゃんに安心感を与える大切なアイテムですが、長期間の使用は歯並びに影響を与える可能性があります。出っ歯(上顎前突)や開咬(オープンバイト)、顎の発達の問題などが生じるリスクがあるため、適切な時期に卒業させることが重要です。
当院では「おしゃぶりの使用は4歳までにはやめれると良いですね」とお話ししています。
おしゃぶりからの卒業は、お子さんの成長に合わせて段階的に進めると成功しやすくなります。日中から徐々に使用を減らし、ポジティブな励ましや「おしゃぶり妖精」の活用など、お子さんが前向きに取り組める工夫をしましょう。
すでに歯並びに変化が見られる場合でも、早期の使用中止で多くは自然に改善します。心配な場合は、小児歯科医や矯正歯科医への相談をおすすめします。
当院では、長期間のおしゃぶりによって乱れてしまった歯並びに対して、歯並びを作るお口周りの筋肉にアプローチする筋機能矯正を行っています。日中1時間と就寝時のマウスピースの装着に加え、お口周りの筋力を鍛える簡単なトレーニングを合わせた負担の少ない矯正方法です。
乳歯の時期から始められますので、お子さんの歯並びでお悩みの方は一度当院へご相談ください😊
初めての方はLINEまたはお電話(0438-38-4854)からご予約ができます。